しこてぽ相撲講

行司

行司(ぎょうじ)は一見「審判」なんですが、行事とは別に審判部の親方が土俵を囲んでいますよね。どうも行事にはそれ以上の存在意義があるそうです。相撲において行司さんの役割は、

  • 勝敗を裁く
  • 儀式を司る
  • 伝統を継承する
  • 場の緊張を制御する

とかなり多機能です。

行司とは?

所属は日本相撲協会で、力士と同じ「協会員」ですが、力士とは別系統の専門職と考えられます。(あちらは競技のプロ)

番付もあり、序ノ口格から立行司まで階級があります。定年は原則65歳とのことです。年功序列が強く、上が空かないと階級が上がらない、なんて話を聞くこともありますね。

行司の階級制度

行司にもピラミッドがあります。

  • 序ノ口格行司
  • 序二段格行司
  • 三段目格行司
  • 幕下格行司
  • 十両格行司
  • 幕内格行司
  • 三役格行司
  • 立行司(たてぎょうじ)

この辺は力士のそれと似ていますね。立行司は最高位で、基本的に2名です。格式を備えた役職ですので、基準に満ちた行事がいない場合、空位になることもあります。代表的な名跡は「式守伊之助」「木村庄之助」で、この2つは襲名して受け継がれる“称号”になっています。

仕事1:勝敗判定

一番わかりやすい役目がこれですね。一方に軍配を上げると誰にでもわかりやすい決着が表示されたことになります。
ただし、最終決定権は審判(親方衆)側にあります。審判が手を挙げて物言いとなり、行司の判定が覆ると「軍配差し違え」になります。

仕事2:進行管理

実はこれが重要だそうで、力士の呼び出し、仕切りの時間管理、取り組みのテンポ調整と場内の流れを止めない司会進行にあたる役割を果たします。(時間係の親方も)これが無秩序になったらNHKが困っちゃいますよね。相撲はテレビ中継込みで秒単位管理なので、行司は「舞台監督」でもあるのです。大相撲の観覧にいってもらう取り組み表の印刷物にはしっかり予定時間が書いてありますもんね。

仕事3:儀式担当

横綱土俵入りなどでは、太刀持ちの配置、立ち位置の指示、儀式の進行も担う。つまり、行司は「勝敗の裁定者」であると共に、「神事の進行役」ということにもなります。

軍配

行司が持っている扇型の道具のことを軍配(ぐんばい)と呼びます。戦国時代に戦場の武将が握っている印象があります。これを勝者側へ向けて差すのが行事です。表裏に異なる紋があり、中には階級で色が違う房(ふさ)がついています。

デザインアイコンとしてもよく使われるモチーフですよね。前は国技館の売店に「軍配みたらし」なる軍配型のお団子が売ってたなぁ。

立行司クラスになると、形式的なものですが刀を帯刀することになります。これは「判定を誤れば切腹する覚悟」という武家由来の意思表示となります。実際に切腹はもちろんしないわけですが、よく「切腹しろ!」って茶化されちゃいますよね、行司さんも大変です。あの場の高揚した雰囲気では、観客が荒ぶっています。(お茶の間も同様か)

装束の意味

行司の衣装は狩衣(かりぎぬ)風です。元は名前の通り狩りのときの服装でしたが、平安時代に公家が普段着としていたアレです。
階級で「色」「紋」「房の色」「足袋の色」が変わります。白足袋を履けるのは十両格以上で、それより下の階級は「はだし行事」何て呼ばれるそうです。NHKの総合チャンネルだとなかなか映らないですけど。立行司だけは、白足袋、草履、刀という特別装備です。

行司の給料と生活

力士と同様、部屋所属し、下位は月給制(会社員的)ですが、立行司クラスはかなり高給取りになります。ただし、力士のような賞金制度はないですね。人気行事なんてのもいらっしゃいますが、収入には結びつかないかも。

ミスをすると?

軍配差し違えが多いと評価に影響があるそうです。過去には降格や謹慎例もあるそうです。とはいえ、人間が一瞬を裁く競技なので完全無誤は不可能でしょう。逆にVTRなしによくぞ!っていう采配のときは感心しちゃいますね。

行司の本質

一言で言うと、「戦いの“間(ま)”を管理する専門家」といえるのではないでしょうか。「はっけよい」「のこった」っていうあの調子が作るリズムなしの相撲とかもう考えられないかもしれません。立ち合いの緊張も、土俵際の攻防も、判定の重み、場の空気、全部を一身に背負ってる大変なお仕事ですよ。