床山
相撲の床山(とこやま)は、力士の髷(まげ)を結う専門職で、日本相撲協会に所属する裏方の一つです。かなり独特の職業なので、役割や制度を整理して説明します。
基本的な役割
力士の大銀杏(おおいちょう)や丁髷を結う専門職です。髷の形を整え、油(鬢付け油)を塗り、紙で固めて形を作ります。
力士の見た目を整える、いわば相撲界の伝統理容師といえます。
髷の種類
床山が作る髷は主に2種類あります。
1.丁髷(ちょんまげ)
幕下以下の力士のスタイルです。細く小さいシンプルな形をしています。十両以上の力士も日常ではこちらのスタイルです。
2.大銀杏(おおいちょう)
十両以上の関取は、銀杏の葉のように広がる豪華な髷を結います。取組のときは必ずこの形です。
断髪式で切るのもこの髷です。親方のハサミで切り落とされたイチョウの葉が長い競技人生を象徴的に思い起こさせます。
階級
床山にも呼出や行司と同じで番付のような序列があります。
- 特等床山
- 一等床山
- 二等床山
- 三等床山
- 四等床山
- 五等床山
勤続年数と成績で上がっていくシステムのようです。
特徴
関取の髷は上位床山が担当し、新人床山は幕下以下を担当します。
本場所中の仕事
本場所中はかなり忙しいです。
主な流れ:
- 朝から髷を結う(数十人)
- 取組前に結い直し
- 乱れた髷の修正
- 取組後の整髪
特に十両・幕内の大銀杏は時間がかかるため、上位床山が担当します。
巡業での仕事
巡業でも床山は同行します。
仕事:
- 力士の髷を結う
- 髷の手入れ
- 鬢付け油や道具の管理
巡業では人数が限られるため、かなりの人数の髷を結うことになることもあります。
床山になるには
日本相撲協会に採用されることで床山となります。採用資格は義務教育を修了した満19歳までの男子だそうです。
まず、相撲部屋に連絡して、見習い期間を経て、親方の推薦をもらって協会に話が行く流れですかね。
理容師免許は必須ではないのは、普通の理髪業とは一線を画す完全に相撲界独自の技術だからでしょう。
床山の人数
おおよそ45人前後です。(時期によって多少変動はあります。2026/3現在、44人でした。
道具
床山は独自の道具を使います。
代表的なもの:
- 鬢付け油
- すき櫛
- 元結(もとゆい)
- 和紙
これでガチガチに固めて形を作るため、かなり熟練が必要です。
部屋との関係
ここが少し面白いところです。床山はどこかの部屋に所属しますが、その部屋の力士だけ担当するわけではありません。床山がいない部屋もあるわけですし、「所属は部屋、仕事は相撲協会全体」という仕組みで運用されています。呼出や行司と基本的に同じ構造ですね。
横綱に関しては、専属の床山がつくことが多いようです。そうなると、思い入れもできそうですし、断髪式には万感の思いがありそうですね。