決まり手/波離間投げ
波離間投げ(はりまなげ)
波離間投げは、相手の頭の上から腕を回して上手を取り、その上手を引きながら相手の体を横方向へひねり、振り回すようにして投げる決まり手です。
日本相撲協会の公式説明では、右手で上手を取る場合、右手を相手の頭の上から回して相手の右腰のまわしを取り、右方向へ捻りながら引き、振り回すように投げて勝つ技とされています。
上手投げに似ていますが、単純に上手から投げるのではなく、上手を取った腕を大きく回し、相手をひねりながら振り回すことが特徴です。
決まり手の分類では「捻り手」に含まれ、非常に珍しい決まり手です。日本相撲協会の集計では、平成25年1月場所から令和8年7月場所9日目までの189,623番中62回、全体の0.03%で、決まり手ランキング45位となっています。
判定ポイント
基本条件
- 相手の頭の上から腕を回して上手を取る
- 上手を引きながら相手の体をひねる
- 相手を横方向へ振り回すように崩す
- 最後の決定的な力が捻りを伴う投げ
判定の核心は「上手を取った腕を大きく回し、相手をひねりながら振り回すように投げたかどうか」という点です。
単に上手を取って投げただけなら上手投げになります。
波離間投げでは、上手を取る位置と腕の回し方、そして相手をひねりながら振り回す動きが重要です。
他の技との違い
| 技 | 違い |
| 上手投げ | 上手を使って相手を投げる |
| 上手捻り | 上手を利かせて相手をひねり崩す |
| 波離間投げ | 上手を頭越しに取り、ひねりながら振り回すように投げる |
| 小手投げ | 相手の腕を抱えて投げる |
波離間投げは「上手を取る位置と、振り回すような捻り投げ」が最大の特徴です。
技の典型的な形
波離間投げは、四つ相撲の組み合いから出ることがあります。
ただし、通常の四つの上手投げとは異なり、相手の頭の上から腕を回して上手を取る独特な形になります。
典型的な流れ
- 相手と組み合う
- 相手の頭の上から腕を回す
- 相手の腰のまわしを上手で取る
- 上手を引き付ける
- 取った側へ相手をひねる
- 相手を振り回すように投げる
技術的ポイント
頭越しの上手
波離間投げでは相手の頭の上から腕を回して上手を取ることが技の大きな特徴です。
一般的な上手投げのように外側からまわしを取るのとは異なり、頭越しに腕を回す独特の形になります。
上手の引き
上手を取った後は、ただ引くだけではなく、
- 相手の体を自分の側へ引き付ける
- 相手の重心を浮かせる
- ひねる方向へ力を加える
ことが重要です。
体の回転
腕だけで相手を投げるのではなく、
- 腰の回転
- 肩の回転
- 上手を取った腕の引き
を連動させます。
相手を大きく振り回すような動きになるため、体全体の連動が必要です。
タイミング
狙い目は
- 相手の体勢が伸びたとき
- 相手が前へ出てきたとき
- 相手の上手を封じることができたとき
などです。
得意とした力士
波離間投げは非常に珍しい決まり手のため、長年にわたって専門的な得意技とした力士は多くありません。
日本相撲協会の平成25年1月場所以降の集計でも、最多は2回で、若龍勢、幸奄美、海舟、日向龍、隆志、伊波が記録しています。幕内経験者では栃ノ心、栃煌山、大翔鵬らの名前も挙がっています。
栃ノ心剛史(元大関)
強力な四つ相撲と上手を生かした相撲を得意とした力士です。
波離間投げそのものを頻繁に使った力士ではありませんが、公式集計では波離間投げによる勝利が1回記録されています。
栃煌山雄一郎(元関脇)
四つ相撲を得意とした力士で、波離間投げによる勝利が1回記録されています。
若龍勢(元幕下)
日本相撲協会の集計では、平成25年1月場所以降の波離間投げで2回の勝利を記録しており、この期間では最多記録の一人です。
有名な取り組み
一山本大生 vs 石浦将勝(2021年七月場所)
波離間投げを語るうえで特に紹介しやすい一番です。
- 一山本と石浦が対戦
- 決まり手は波離間投げ
- 日本相撲協会公式チャンネルの「スゴ技大相撲」で紹介
- 決まり手担当の親方が選んだ「珍しい、凄い、これぞ」という取組の一つ
令和3年七月場所で、一山本が石浦を波離間投げで破った取組は、日本相撲協会公式チャンネルでも取り上げられています。波離間投げの実際の動きを映像で確認できる、代表的な一番です。
発生頻度
波離間投げは極めて珍しい決まり手です。
日本相撲協会の集計では、平成25年1月場所から令和8年7月場所9日目までの189,623番で62回しか記録されておらず、割合は0.03%です。決まり手ランキングでは45位となっています。
上手投げや上手捻りと比べても、実際の本場所で見る機会はかなり少ない技です。
見た目の特徴
- 相手の頭の上から腕を回している
- 上手を取っている
- 取った上手を引きながら体をひねる
- 相手を横方向へ振り回すような動きがある
- 通常の上手投げよりも大きな回転動作に見える
観戦では「頭越しに上手を取り、ひねりながら相手を振り回しているか」を見ると、波離間投げを見分けやすくなります。
上手投げとの本質的な違い
| 技 | 特徴 |
| 上手投げ | 上手を使って相手を投げる |
| 波離間投げ | 頭越しに上手を取り、ひねりながら振り回すように投げる |
どちらも上手を使う投げ技ですが、波離間投げは「上手を取る腕の使い方と、ひねりながら振り回す投げ方」に特徴があります。
そのため、単に上手を取って投げただけでは波離間投げとは判定されません。
面白いポイント
波離間投げは、名前だけを見ると「波離間」という人物や地名に由来するようにも感じますが、実際の技の動きはかなり独特です。
特に面白いのは、上手を取るための腕の軌道そのものが技の特徴になっていることです。
相手の頭の上から腕を回して上手を取り、そのままひねりながら振り回すため、通常の上手投げとは異なるダイナミックな動きになります。
観戦のコツ
取組中に
- 四つに組む
- 片方の力士が相手の頭の上から腕を回す
- その腕で上手を取る
- 取った側へ相手をひねる
- 相手を振り回すように投げる
という流れが見えたら、波離間投げの可能性があります。
特に「頭越しに上手を取る」→「ひねる」→「振り回すように投げる」という3段階に注目すると、上手投げや上手捻りとの違いが分かりやすくなります。